手の中の蝶々



まさかこんな事になるだなんて。


『震えてる』


空いている手で私の床を必死に押す手に触れる。

優しく、そっと。


『こうしたらどうする?』

見えないはずの先生の顔が、意地悪く笑ってるように見えた。


「ひ…っ」


途端、私は耳に違和感を感じた。
柔らかく、こそばゆい感覚。


先生が私の耳に息を吹き掛けたのだ。


私の肘はガクン、と力を無くし、床を支える力も無くなる。


「もう嫌だってぇ…っ」


支える物が無くなった私の体は先生の上に倒れるしか道は無くて。

『死にそう?』


未だ尚耳は先生の口元にあって。

私をいたぶる事が余程楽しいらしい先生の声は低く、私の脳に直接響く。

低温は私の頭の中を巡り、全てを洗脳して廻る。


いっそのこと全て麻痺してしまったらいいのに



と本気で思う。



そうすれば、この立派なセクハラ状況に何故か胸が破裂しそうになるのも、もしかしたら収まるかもしれない。


「死にそう…だから、許して」


しかし全身ビリビリするのに、耐電性が強いのか、なかなか感電しない私は、只許しを請うしかできない。