手の中の蝶々



私、生徒だよ!
先生分かってんの!?


って言ってやりたいけど、


全身に力が入らなくて。
なんだかふにゃふにゃで。

床を押しまくる左手は震えて。




『ほら、気持ち悪いって言ってみろよ』


「………っ」


駄目だ。
先生の低温ボイスは私の弱点だ。
しかも、何で命令口調…!

私をこれ以上支配してどうするんだ。
殺す気かぁ!




「き…きっ………」

私の声はか細く震えて、先生の声とは対照的だ。

辛うじて「気持ち悪い」と言えた所でその言葉にはなんの力もなくて、先生にはなんの効果もないだろう。

なので私は事を穏便に済ませようとする。

「ごめ…なさ……」

『なんて?』


聞こえてるくせに。
先生はこの状況を心から楽しんでるように思う。
いや、確実にそうだ。

とにかく謝ろうとする私に、簡単に逃がしはしないと言わんばかりに虐めぬく。



『聞こえねぇよ』


「……!」



エプロンで喜んでる先生が草食動物に思う。



こんな先生、知らない。