手の中の蝶々



真っ暗、怖いの。
少しだけ。
理由も分からないけれど。



豆球なら問題ない。
あれだけ小さい光があるだけで不思議と暗闇の恐怖は消える。



『豆球にしていい?』


「うん」



私の最初の問いは真っ暗になってから少したってからだったから、先生はもう床にひいた布団に入ってしまってるようだった。




だから自分で立ち上がったんだけど…。




やばい。
何処に何があるのか全く見えない。



「きゃっ」



用心深く歩いてるつもりだったのに、何かに躓いてしまった。



『夂葉さんっ!?』


あれ、先生の声近い。


私の小さな悲鳴を聞いて焦る先生の声が割と近くで聞こえる。



しかし、先生の声を聞きながら、私の体は前方へぐらりと傾く。




もう無理…っ



精一杯踏張ろうとは努力したんだけど、結果虚しく。
私はもう無理だと諦める。




――バフッ



「いった……くない…?」



転んだ、見事に。

なのに摩訶不思議。痛みはない。



…なんだか柔らかいモノの上に倒れたらしい。



『ててて……』

その柔らかいモノが…喋った!?



「って…先生???」


慣れてきた目でよくよく見ると、私の下敷きになって痛みに顔を歪ませるのは間違いなく先生で。




「あわわ!ごめんなさい!」


『もうっ、夂葉さんたらぁ、強引なんだからぁ〜!』



急いで退こうとすると、両手首に痛く手の感触を覚えた。



…動けない。