手の中の蝶々



『蝶々さん。ココアが飲みたいな』


「はいはい」




私に、私が蝶々みたいだと伝えてからずっとこんな調子。



「はい、ココア」

『ありがとう。夂葉さん』



…かと思えば、ちゃんと本名で呼んでくれたり。

気分?気分屋なのか?



あぁ、謎だ。




『そろそろ眠い…夂葉さんも寝よう?』


「私も眠い……」


気付けば時刻は11時を過ぎていて。



『電気消すよ』

「うん」


私はベッドに入る。



『蝶々さん、蝶々さんっ!一緒に寝ていい?』


未だ明るい室内。
先生は電気から伸びる紐に手をかけて、空いてる方の手で私の隣を指差す。



「ねっ!寝ません!!」


そんな先生に私はあたふたしてしまって。
布団にくるまって先生に背をむける。



『蝶々さんは本当にイジメ甲斐があって楽しいよ』



背をむけているから分からないけど、言葉の調子から表情が浮かぶ。


微笑を浮かべる先生の怪しい顔が。



とんとんとん、と言う音と同時に3段階に明るさが変わり、最後には真っ暗になる。




「豆球にしないの?」


真っ暗は少し、怖い。