手の中の蝶々



『そっか、俺タンポポなんだ…』

「いや、別にお前はタンポポだ、ってことじゃなくて…」



“みたいな名前”ってだけで。




「あの、じゃあ…託さんって呼びますねっ」


変な解釈をされたので、話を逸らそうと、呼び名を提案する。



すると、託さんは嬉しそうに目を輝かせた。



『じゃあ俺はちーちゃんね!』



「ち、ちーちゃんですか…?」



やけに可愛らしい呼び名をつけられてしまった。


別に、いいんだけどさ。



『うん!いいっしょ?』


「はぁ…何でもいいです」


『じゃあちーちゃん、またね』



私がちーちゃんを承諾すると、早速呼び、手を振りながら車を発進させた。





神木託英さんね…。



これでしっかり私の頭の中に顔と名前がインプットされた。




補足にはタンポポみたいな人だ、としておこう。