手の中の蝶々



『やるじゃん海』


「は…?」



楽しそうに笑う友達さんを見て、信用がどうこうの問題じゃないことを悟る。




『禁断か〜、いいねいいね』


ほんっとに楽しそう!



「そんなんじゃないですから!」

でもこのままでは間違った情報が漏れてしまう。



実際、先生とはなんでもないわけだし。





「やめて下さい!本当に違いますから!」



私の必死の弁解は虚しくも間違った方向にとられてしまい、



『隠さなくてもいいってば〜、照れ屋だなー』



うわ、ウザ!


勝手に勘違いしないでほしい。




「これ以上騒いだら貴男に会ったって先生にいいますよ」


『え?ちょっ、ダメだって!』


「じゃあ静かにして下さい。本当に何でもないんですから」



いい加減鬱陶しくなった私は、脅迫まがいに弱みをグリグリ抉る。


「分かりました?」

ニッコリ笑って念を押す。




『う…はい』



金金頭をねじ伏せてしまった。




『…まぁいいや、どっちにしろ海と住んでるのは事実なんだし、それだけで俺興味津々』


ねじ伏せるのが簡単なら起き上がるのも簡単なようで。



…また良からぬ事を想像してそうな顔。