手の中の蝶々




――教室前



結局、バイト先に辞めることを伝えに行ったりしていたら、3時間目の始まる時間を過ぎていた。


と言っても10分くらい。



授業中で静かな廊下を抜けて、自分の教室の前。



中からは先生の声が聞こえる。



……やっぱり先生の声、好き。






「おはようございます……」


小声で挨拶しながら後ろのドアから入る。




『桜木さんっ、おはようございます。
おしい、後10分早かったら間に合ったのに』


先生のその言葉に軽く頭を下げて、自分の席に座る。





な…なんか変な感じ。
先生って、先生なんだ。


教壇に立っている先生は、どっからどう見ても高校教師で。




なんか、変。










…こんな風に感じてる私が1番、変。





『…で、この文は―――』



名簿に素早くチェックした先生は、直ぐに授業を始めた。