手の中の蝶々



菊島先生の友達……。



意外だな、先生にこんな友達がいたなんて。




『さっき海のうち行ったら、君が出てきて、俺思わず隠れてちゃってさ。……で、着いてきてみた』


どうやら嘘ではないらしい。



最もこんな嘘をついた所で何のメリットもない。





ということで、信じてあげよう。






『…送るよ?海のうち行くんでしょ?』




この人は私のことを、ナニ、として対応してるんだろうか。





まさか、先生の彼女とか思ってないよね……?




年だって見るからに離れてるし。



「じゃあお願いします」



車のドアを開けてお邪魔させてもらう。



『名前は?』



「桜木夂葉です…」



信じてあげよう
と言ってはみても、やはり少し怖い。





金髪に、指と首を飾るシルバーアクセサリー、しかも……服の袖から、刺青らしきものが見えた気が…………。





それにしても、ほんっとに意外。



先生の友達がこういうジャンルの人だなんて。





でも、私の心配の方は問題無いみたいだ。
ここ、先生の家の近くだし、ちゃんと向かってくれている。