手の中の蝶々



「誰かも分からない人の車に乗るような年齢に見えます?そのくらいの分別はできますよ」




馬鹿じゃないだろうか。




乗るわけがない。





いかにも怪しい。




私は無表情で言い、重いのを我慢して、早歩きでさっさとその場を去ろうとする。




「着いてこないで下さい」


私の歩くスピードに合わせてゆっくり車を走らす金金頭。




私は顔も見ずに前だけを見て進む。


『………』


何も言わない金金頭が逆に怖くなって、横目で見ると……



「何がそんなに楽しいんですか?」


金金頭は笑っていた。

クスクス、いや、ニヤニヤ?


うーん……、なんか



そうかそうか、面白い


みたいな笑み。




…より怪しい。怪しさ増大。20%。




『俺ね』

私の警戒心がもっともっと強くなっていく一方だった時、金金頭が口を開いた。




『海の友達だよ?』





海…………





「って菊島先生??」




私がようやく「海」と「菊島先生」を一致させて、聞き返すと、当たり、と微笑んだ。