手の中の蝶々



―朝。


目が覚めるとすっかり朝になっていた。


よくも人様のベッドでぐーすか爆睡できたもんだ。





「先生もう行ったんだ…」



今は8時。


さっき出た所なのか、部屋はまだ少し暖かい。




「あ…」


机の上にメモを見つけた。




先生の字だ。
いつも黒板で見る、先生の字。



『おはようございます。できるだけ早く来て下さいね。3時間目は僕の授業ですから!あ、朝食はあるものを適当に。

それでは待ってますよ蝶々さん。』




と、かかれている。




『蝶…々さん?』


私の……ことだよね。
どう考えても。



私夂葉なんだけど。


まぁ「ちよ」と「ちょうちょう」…、なんとなく似てないこともないけど…。




それにしても意味の分からないことを…。





私はメモに首を傾げながらも、棚にあったトーストを取り出してトースターにセットした。





これ食べたら荷物をとりにいかないと。