手の中の蝶々



要求……?


『イビキかくなとか、あっちの処理は迅速に、とか』



イビキは別に、気にしない。
あっちの処理……?

ってなんだ。



「………?」


『スルーして下さって結構ですよ』



「え、あ、はぁ…」


じゃあ言わないで欲しい。
混乱するでしょうが。



『要求は?ないんですか?』


「あっ、要求って言うか、明日家に制服とかその他諸々とってくるんで、学校遅れます」


制服がないと学校にも行けないし。

…今とりにかえったら、きっと、お姉ちゃんいるし。



明日お姉ちゃんが出勤してからを狙って行こう。




『分かりました。



後は…?』







後もう1つ考えてることがある。





「えっと…、これも要求じゃないんですけど………。


バイトやらないなら時間ありますし、私…………家事しましょうか?……あのっほらっ、家でも家事担当でしたし!」


自分で言いだしておいて



なんだか照れくさい。





先生の顔なんてこれっぽっちも見れなくて。




きっとあたふたしてるんだと思う。




目線を下にしてるから


かろうじて見れるのは先生のお箸を持つ手で。






……何故かそれがフルフルと震えている。