手の中の蝶々



『後、バイトは禁止です』


「え?何で…。私ちゃんと許可とってますよ?」



私の高校は本当はバイト禁止なんだけど、私は家の事情もあって特別に許可を貰っている。



まぁ、許可なんて取らないでバイトしてる子なんていっぱいいるだろうけど。






『そうじゃなくて、僕は貴女1人を養うくらいはできます。
心配なんです。いつも無理して頑張ってる貴女が』



…周りが掛けてくれる言葉はいつも、頑張れ、とか、大変ね、とかで





心配、とか言われたことなんてなかった。






「じゃあ…分かりました…」



先生はなんで私の扱い方がこんなに上手いんだろう。









『これでいままで寝てて知らなかった、学校での僕を見ることが出来ますね』





…知りたいと思ってしまう私は、



もう完璧に先生のペースに呑まれてる証。





「間違って口滑らさないで下さいね」


『僕がそんなヘマするとでも?』

自信たっぷりに、鼻で笑う先生。


あ、絶対大丈夫なんだろな。
……ムカつく。









『後それと…、一緒に暮らす上で、僕に何か要求とかあります?』