手の中の蝶々



不純かどうかなんて


くそ食らえだ。


「お姉ちゃんごめん…!」

『夂葉…!?』


会いたいと強く思うこの気持ちが不純なんてあり得ない。

好きの気持ちは純粋そのもの。


体裁を気にして、自分の気持ちに嘘をつくほうがよっぽど…。





待ってて先生。
今、素直になりにいくから。




私は家を飛び出して先生の家へ走りだした。

体が勝手に動く。

息は荒くて苦しいのに、何だか足が弾むようで。



――そんな時、横を通り過ぎたのは…、

見覚えのある車。


あれは………


「た…くさん…?」

『ちーちゃんじゃん!こんな夜にジョギング?強烈だねぇ』

窓から顔を出して軽い口調をかっ飛ばすのは、正しく金髪の彼…。


たんぽぽが代名詞の運搬屋。


「…本気で気持ち悪がっていいですか?」

『ん?何が気持ち悪いって?』


私が先生の家へ向かおうとしたら何故決まって現れるのか…。


私に納得できるように説明できたら通報は勘弁してやろう。

『…ちーちゃん?なんかとんでもない事考えてない?』