『私、この家に住もうと思うの』
確かに…、良く考えるとお姉ちゃんがまだこの家に住んでるのは可笑しい。
あの時お姉ちゃんは、出ていこうと思うの、と言った筈だ。
『だから…、此処で3人で住まない?』
「へ…?」
予想だにしてない展開に頭が着いて行かない。
『私、夂葉の事邪魔なんて思った事ない。こんな事になって…本当に後悔したわ。私から離れた方が、夂葉が幸せだって思ったの。毎日毎日私が帰ってくる時間まで起きていて、全部家事を任せきって…大変だったでしょ?』
「そんなのお互い様じゃない…!」
仕事をして金銭的に支えるお姉ちゃん、家事をして支える私。
それでバランスはとれてるのに。
私が乗り出してそう言うと、お姉ちゃんはフルフルと頭を振るった。
『それだけじゃない…、夂葉、気を使ってたでしょ?ずっと。
…私が養子だったことに。』
図星をさされた私は、言葉を詰まらせる。
…バレてたんだ。
『だから…1人暮らしなんて進めてしまった…。本当にごめんなさい』
「違…!謝らなきゃ駄目なのは私で……!!」
お姉ちゃんを、こんなに血の繋がらない私の事を想ってくれてたお姉ちゃんを、その気遣いを、勝手な思い込みで突っぱねて。
謝らなきゃ駄目なのは、私なの。



