「すー…はー…」

大きく深呼吸をして。


決心して一歩踏み出す。



『…夂葉……?』

扉を開けたお姉ちゃんは、目を見開いて。

戸惑いを表すかのような止まった時間は、再び針を進め、お姉ちゃんは私を家の中へ導いた。


玄関に入った瞬間に目に入った、革靴。

恐らく、…私の義兄なる人の物。


私の知らない、生活があるんだ。


「昨日はごめんなさい」

『へ…?』

「酷い事、言ったでしょ」

お姉ちゃんが言い返せないの分かってたのに。
酷いやり方で、逃げてしまった。


『………』

リビングに入って、安心した。


いなかったのだ。


『まだ仕事なのよ』

お姉ちゃんは私の考えが分かったように、そう言う。

お姉ちゃんの予想通り、私はお姉ちゃんの恋人がいなくて安心したのだ。


だって、今顔を合わせるのは気まずい。
きっと向こうもだと思う。


『あのね、夂葉』

テーブルに向かい合わせになって座る。


最初に切り出したのはお姉ちゃんの方で。

私は先ずは大人しく話を聞く事にした。