母は小さい頃に愛想をつかして出ていった、らしい。 あたしの記憶には母との思い出はひとつも残っていない。 それを寂しいことだとは思ったことはないけど、腹はたつ。 なんであたしが借金を返さなければいけないの! ひとりで逃げるなんて卑怯よ! つまりは、そういうことである。 母に会いたいとも思わないし捨てられたことも今となってはどうでもいい。 ただ、ひとりで返す借金とふたりで返す借金ってまったく違うっていうのに。 まあ、わたしもあと1年の辛抱だ。 絶対に就職してこの家を出てってやるんだから!