オリオンの砂時計

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夜の街を徘徊する。
私の住んでる家の周りはパブやスナックや居酒屋がいっぱいあって、ヨッパライが千鳥足で歩いているのが見える。
ホストが赤いコートを着て客引きしてるのも。
こんな人通りの少ない路地で、よくやるよ。
最近じゃ毎日、こうやって昼夜逆転の生活してる。
夜はキョウフとカイカンが混ざって構成されてる。
街頭の近くにある、割と新しいベンチに座る。
冷気が頬を容赦なく霞める。
でも夜になると頭が冴えて寝ようにも寝つけなくて、かといって家にいると息がつまってしかたないから着替えて、物音をたてないように、こっそり外にぬけだして、何をするでもなくふらふら歩いてる。

自分の存在そのものを消し去ってしまえたらいいのに。
ソンザイしてたって証拠からすべてまるごと。

チカチカと不規則に点滅する街灯。
消えそうで消えない。
今にも消えそう。

でも 消えない。

ランプのカサの中には大量の虫の死骸がたまって黒くなってる。
光の色はぼやっとして、なんだか酷く疲れた色をしてる。
昼間になれば当然、灯りが消される。
他の街灯と全くかわらなくミエル。
かえって他の街灯よりキレイに見えたりする。
世の中は、昼間の街灯の姿を本物だと思い込んでる。
街灯は演じ続ける。

たくさんの羽虫の死骸で自らの内部を汚しながら。

演じ続ける。
必要とされ続ける限り。
不要とされないために。



ピエロのように。