気がつくと、天井がぐるぐると回っていた。

いや、天井じゃないな。

回っているのはオレの頭の中だ。

身体が熱い。

頭が痛い。

ここはどこだ？



そうだ！

結婚式の二次会で浴びるほど祝杯を重ねたオレは…記憶がなくなるほど酒を飲んだ。

ワイシャツまでが酒臭い。

ベッドに寝てる？

そうか！
ここはホテルの部屋なのか。

シャワーの音…。

香織か…。

オレは再び目を閉じた。



「直紀さん、直紀さん…大丈夫？」

重いまぶたを開くと、心配そうな表情の香織がオレを覗きこんでいた。

「やっと目を覚ました！あんなに飲んじゃダメじゃない。明日から新婚旅行よ！大丈夫なの？」

「大丈夫じゃないかも…」

「もう、だらしないわね。はい、お水飲んで！」

「ありがとう」

重い身体を起こし、香織の差し出したコップの水を飲み干すと少しずつ意識がはっきりしてきた。

しかし、まだ香織の声がどこか遠くに聞こえる。

「山本くんたちも悪いけど、あんなに飲むなんて。ねぇ、シャワー浴びたら酔いも醒めるんじゃない？」

「うーん…」

生返事に香織はあきれ顔をしている。



香織には悪いが、オレには結婚式当日にもかかわらず、酔いたい訳があった。