ごちそうさん…。



じゃあ記憶、消させてもらうわ。



化け物でも見たように顔が真っ青だからな。



「ちょっと悪いね」

「なに…する気なの…」

「はい、忘れちまえ」



俺の中に流れ込んでくる記憶を、告白んとこまで取り上げた。



血をもらった後に暴れられたら眠らせて記憶を消すけど、コイツは案外楽なパターン。



「あたし…なに言ったっけ?」

「俺のためならなんでもするんだって」

「あっ、そう!!だからあたしと付き合わない?」

「本気で惚れてる女がいるから悪いけど諦めて。じゃあ」

「紫君っ…」



俺はたぶん、あいつの血に惚れてる。



性格は置いといて。



でも泣き顔はぶっちゃけカワイかった。



涙まで甘いのは反則だろ。



気づけば、頭の中が蜜でいっぱいになってる気がする。



あいつがいなきゃ、生きていけないとまで思わせるくらい。



だから欲しいんだ、蜜が。



しかしどうやったら『なんでもするよ?』なんて言わせられるんだろうか…。