honey blood

こんなことがなければ俺は前に出ないからいいんだけど。



だってあまりにも不自然だろ?



社長が歳とっても見た目が変わらないってのは。



だから俺はこれからも表に出るつもりはない。



挨拶を終え、拍手をもらったら後は挨拶周り。



取引先の社長とか、俺の会社の各社長たち。



「蜜、おいで」

「うん?」

「変なこと言ったらどうなるかわかってんだろうな?」

「へっ!?」



こんなに若い奴を社長にするなんて、当たり前のように反対意見が出た。



だけど俺は日本ヴァンパイアの頂点に立つ男。



半数以上がヴァンパイアの会社で、反対意見なんか通らないわけ。



「かわいらしい奥様ですね」

「えぇ、蜜といいます」

「今後もよろしくお願いします」



嫁の紹介も適当に、立食式の会場で連れ回される蜜には拷問らしい。



「紫ぃ~…」

「我慢しろ」

「アレ食べたい。絶対食べたい…」

「部屋に運んでやる」

「絶対!?絶対だよ!?」



やっぱり緊張感より食い意地。