honey blood

パクパクと生クリームを口に運ぶ紫はなんとも幸せそうな顔…。



そんな顔できるんだ…。



「そういえば聞きたかったんだけど、紫は何年生きてんの?」

「17年」

「マジで!?普通じゃね!?」

「まぁな。ハタチぐらいからが長い。父さんとか、見た目俺と変わらん」



なんかお得じゃない?



でもそんなに生きてて問題になんないの?



「戸籍とかどうなってんの?」

「偽証しまくってる。俺たちには簡単なことだけどな」

「へぇ~…」



よくわかんないけどヴァンパイアも大変そう。



ヴァンパイアの集会みたいなのってあんのかな?



未知の世界ってちょっとのぞいてみたくなっちゃうよね?



「お前もなるなら歓迎するぜ?」

「なるかボケ!!」

「だろうな、人間の方が幸せだ」



そう言った紫の顔はどこか寂しそうで、今日はコイツの知られざる素顔を知った気分だよ…。



少しだけ『桐原 紫』という男を理解したような気がした。