ふたりだけの部屋で蜜を抱きしめて、キスして…。



「最後だなんて思ってねぇから」

「うん、平気。二葉にもバイバイしてないのに死ねない」

「そうだな」

「信じてるよ…」



部屋に入ってきた天音が書いた魔法陣。



水晶と鏡、聖水と銀の杯。



「配置、陣、絶対大丈夫。蜜は真ん中に寝て。紫はここ」

「これを飲めば…10秒で天国!!」

「俺が合図するから」



不備はない。



信じる心と本物の愛。



「紫、準備できた?」

「あぁ…」

「じゃあ蜜、飲んで」



小瓶を一気に飲み干した蜜には躊躇の色は全く見えない。



蜜の覚悟は無駄にしたりしねぇから。



絶対助ける。



絶対一緒に生きるんだ。



「紫、大好きだよ。ちょっと…行ってきます!!」



蜜の呼吸が止まるまで10秒。



今のは最後の言葉なんかじゃない。



「紫、始めるよ」

「頼む」



俺の命と引き替えにしたって、お前は助ける。



ダメな場合は一緒に行こう、ふたりの未来に。