【蜜】



目を疑うのは2回目。



紫と雪丸君の禁断シーンより、今の方がビックリしてる。



「よぉ、元気だったか?」



夜、お風呂に入ってから自分の部屋に行き、ベッドに座った。



急に冷たい空気が部屋に吹き込み、窓を見ると紫が立ってる…。



「げ…幻覚?」

「涙目」

「ウソ…、本物?」

「泣くほど会いたかったか?」



紫がいる…。



3ヶ月と1週間、紫と離れた期間。



なんの前触れもなく、彼はあたしの部屋に不法侵入…。



それに前髪が顎くらいまで伸びててセンター分けだよ…。



相変わらずサラサラでキレイで…。



妙に色っぽい紫の雰囲気にクラクラしそう…。



「玄関…ここじゃない…」

「知ってる。こんな時間に堂々と来れねぇじゃん?」

「いつ帰ったの…?」

「さっき。家に行ってから来た」

「むら…さきっ…」



すごく我慢してたんだって思い知った。



涙が止まらない…。