honey blood

エリックが言ってたその意味が、数週間後の森の中サバイバルで証明された。



エリックはただの話し相手としてそばにいる。



なにをするのも自分でやらなきゃならないこの環境…。



「紫様の特異体質のヴァンパイアが歴代の王族の中におりました」

「へぇ~」

「ですから、紫様もやればできます」

「火は出せない」

「そのお方は出しました」

「出ねぇから」

「出し方を教えましょう」



エリックが拾った薪に火をつけろと言い出した。



だけど俺、そんなドラゴンみたいなことできないし。



「指先に集中!!」

「集中…」

「体の中にある熱を集める感じで」

「集める……ぬぁっ!?」

「はい、人間ライターの完成ですね。紫様は優秀なお方です」



人間ライターってダサすぎて笑えねぇよ。



それより自分の指から火が出たよ。



俺、やればできるのかも。



ってか、何でもできそうな気がしてきた。



「夕食は私の分もお願いしますね~」

「魚捕ってくるから火だけ見とけよ」

「かしこまりました」



サバイバル、がんばる。