屋敷の中が血のにおい…。



俺の欲望をかき立てる。



蜜がいたらきっと即座に噛みついてたと思う。



中にはうまそうな匂いももして。



気を紛らわすために机に向かい、ここのルールとやらに目を通した。



『継承者を敬うこと』



へぇ~…。



やっぱり偉いのか、俺って。



『指導者に従うべし』



明日から俺にもマンツーマンで誰かがつくらしい。



ヒマだから本でも読んどくか…。



分厚い教科書を読んで数分、ノックが聞こえてドアを開けた。



立ってたのはロシアの彼。



名前はさっき聞いたのに思い出せない。



メガネをかけてていかにも知的…。



「ワサビ…」

「ワサビ?」

「食べたことあるか!?」

「あるけど…」

「父が革命的な味だと言っていた。興味があるからワサビが何物なのか教えてくれ」



その日、なぜかワサビの話で夜がふけた…。



先行きは不安だけど、俺はちゃんと立派になって蜜のとこに帰ろうと思う。