honey blood

ゆっくり眠った朝、マリさんに謝った。



ペシッと頭を叩かれ、それに愛情っぽいものまで感じてしまう。



紫がくれた家庭…。



「龍太さん、歩いて行っちゃ…」

「ダメ!!なんかあったら悲しい!!」

「はい…、いってきます…」



紫がくれた家族の温もり…。



紫が教えてくれた、この気持ち。



「天音っ!!ちょっと来て!!」

「俺?なに?」

「いいから、お願いがある」



紫の視線を感じたけど、天音を教室から連れ出した。



あたし、どうなったっていい。



「天音の記憶、書き換えて」

「別にいいけど」

「もしあたしがおかしくなったら…紫に…コレ渡して」

「手紙?」

「失敗しかねないから!!」

「信用ないね~。保健室でやろうか」



紫のことが好きだから。



だけど今のあたしにはお見合いを止める権利がない。



ちゃんとクリーンにしてから紫と向き合いたいから…。



そのためならどんな痛みにだって耐えてやる。