なのに紫の家に引き取られて数週間、天音はすっかり落ち着いた。



あの器の広い父上のおかげか、天音の情緒は安定している。



「あたしの中の感情消してほしいんだけど…」

「あぁ、無理。俺じゃどうしようもない」

「ふざけんなっ!!」

「凶暴だよな、蜜って。マジ、俺のタイプじゃない」

「ならなんでこんなことしたの!?」



そう言ったらしょんぼりした顔になった。



『紫がうらやましかったから…』



ハァ…。



ダメだ…。



あたしの頭は天音にあらがえないようにインプットされてる…。



「天音に片思いしてる気分…」

「ごめん、ホント、蜜はヤダ」

「あ!?どの口が言ってんだよ!!」

「やっぱりさぁ、あのまま素直な蜜の方がよかったんじゃない?」



紫も苦笑いしてんな!!



あの時のあたしは天音が全てだったんだよ!!



あり得ないのに抜けない感情にイラッ…。



「それより早く進めなよ。俺ばっかり」

「罰だと思って全部やれ」



現在、紫の部屋で文化祭の衣装制作中…。