honey blood

そんな感情どこにもない。



なのにドキドキッと胸がうるさくなる。



紫を好きだった過去なんてあたしにはないのに…。



じゃあ天音は?



天音はあたしのなに?



「ナナね、兄さまの辛そうなお顔見てるのイヤ…」

「ララもイヤだ…」

「ミーちゃん、兄さまのこと思い出してよ」

「兄さまのこと好きでしょ?」



そんなこと言われても…。



思いだそうとすれば頭が痛くなる。



紫を好きだって気持ちがあたしには全くない。



「ごめんね、好きじゃない…」

「なんで!?兄さまとずっと一緒にいたでしょ!?」

「いないよ!!そんなの覚えてない!!」

「ミーちゃんのバカ!!大嫌い!!」



片方が部屋から出ていってしまった…。



大嫌い…か…。



好かれる要素もないけどね…。



「これ、持ってる?」

「シュシュ?あっ、あたしが持ってるのと色違いだ…」

「誰にもらったの?」

「天音だけど…」

「これをミーちゃんにあげたのは兄さまだよ」



そんなのウソだよ…。