honey blood

いつまでも涙が止まらなかった。



ドアが開いた時、入ってきたのは龍太さんだった。



「起きたみたいだね」

「はい…」

「どこか痛い?」

「大丈夫です…」

「ごめんね、こんな目に合わせて…」



なんで龍太さんが謝るの…。



スーツのポケットから出したハンカチで涙を拭ってくれた龍太さんは頭を撫でてくれた。



暖かい…。



「天音って男は厄介だ…」

「天音が…?」

「うん、こんなものまでつけて…。やってくれるね」



耳には昨日までなかったピアス…。



穴なんて開けてなかったはずなのにどうして…。



「蜜ちゃんは大事な預かり物だから傷つけたり辛い思いなんてさせたくない」

「龍太さん…。あたし、自分がよくわからない…」

「無理しなくていいよ。僕の前では、無理しなくていい。蜜ちゃんがイヤなら他言もしない。だからなんかあるなら言ってもいい」

「わからないの…。みんな信じちゃダメだからっ…」

「ならそうしな?だけどちゃんと蜜ちゃんの味方でいる約束はするから」



龍太さんは優しい…。