体を揺すられて目を開けると、辺りは真っ暗で並の音が聞こえた。



「夜の海って初めて…」

「少し寒いかな?」

「風冷たいね」

「羽織ってな」

「ありがと…」



天音が貸してくれた上着を羽織り、砂浜を歩いた。



夜の海って気持ちいいんだ…。



知らなかった…。



「ねぇ、紫」

「えっ?」

「ヤダっ…あたし今なんて言った…?」

「まだ完璧に抜けない?一気にやったつもりだったのに…」

「ごめんっ…」

「いいよ、おいで」



なんであんなヤツの名前が出たの?



考えてたわけでもないのに…。



「少~し痛いけど…我慢するんだよ?」

「なっ!?うぁぁぁぁぁっ!!イヤぁぁぁっ!!」



頭が割れるっ!!



痛いよ天音っ…。



なにをしてる…の…?



あっ、意識がなくなりそう…。



「蜜の好きな人は僕だけ。あんなヤツ、早く忘れちゃいな…」



あたしが好きなのは…。



あたしが信じるのは…。



天音だけ…。