二葉に『紫君のこと、嫌いになったの?』そう聞かれた時もなぜか泣きたくなった。



紫の顔を見るだけで、どうしてか泣きたくなる。



だけどあたしが好きなのは天音。



紫は悪いヤツ…。



「ねぇ、海でも見に行こうか」

「海?なんで急に?」

「海の近くに住んでたんだ。夜は星がたくさんでキレイだよ」

「行きたい!!連れてってくれるの!?」



ニコッと笑う天音に甘えたい。



この人といると安心する…。



天音はあたしのすべて…。



あたしの天音で天音のあたし…。



「三咲、海まで乗せて」

「かしこまりました」

「蜜は柊のオジサンに電話しな?遅くなるって」



頷いて電話をかけた。



あたしが遅く帰ることをきっと良く思ってないだろう…。



だけど天音といるとなぜか安心するの…。



運転手の三咲さんに乗せられて海に向かう最中の車の中で、天音はずっとあたしの手を握ってた。



眠くなっちゃうよ…。