honey blood

【紫】



蜜が姿を消した。



朝に家を出てからの消息が掴めない…。



夜も帰らず、携帯も繋がらない。



いろいろな場所を歩き回ったけど、蜜の匂いがしない…。



「吹雪、なんかわかったか?」

「いえ、なにも…」

「なんでだよ!!誰だよ…」



自分から望んで姿を消すはずなんてない。



柊家に引き取られ、今から新しい生活にワクワクしてたあの顔…。



絶対…あり得ない。



犯人は誰だ?



「紫、桐原 天音のこと、少しわかったよ」

「本当か!?」

「本名の『桐原』は名乗ってない。母方の旧姓、毛利って名乗って生活してたみたい」

「今どこに…」

「そこまではわからない。けど…」

「けど?」

「毛利 天音で転入手続きがされてる…」



俺が気になっていたあの男が転入してくる…。



雪丸が調べた内容では、明日から通うらしい。



このタイミングに?



やっぱりなんか裏がありそうだ…。



「紫様っ!!蜜様が柊家に戻られたと…」



無事だったのか…。