honey blood

イライラしてバッグを持って外に出た。



行く宛てなんて決めてないけど、あんな女と同じ空気を吸ってるのですらイヤ。



お金があれば自分で学校通ってなんとかするのに!!



『帰って来ないなら仕送り止めちゃうよ?』



すれ違いざまに言われた憎たらしい言葉が頭をぐるぐる回る。



こんな時、お母さんに頼れたらどれほどよかったか。



だけどその母親ですらあたしを捨てた。



ここにあたしの居場所なんてない…。



泣きたくて、でも泣く場所すらなくて。



帰ってしまおうかと思い、駅に来た。



少ない荷物、おいてきてしまった…。



近くにあったカフェに入り、おもむろに取り出した携帯。



無性に紫の声が聞きたくて電話をかけた。



「もう寂しくなったのか?」

「かな…?」

「早すぎんだろ」

「来てよ…今から…あたしのとこ…」

「はぁ?」

「紫に会いたい…」

「恐ろしいくらい素直じゃん」

「さすがに弱る…」

「俺もちょうどヒマしてたから行ってやるよ」



本当に来る気…?