honey blood

【紫】



実際、蜜の親のことなんか興味もなかった。



夏休み、蜜と過ごして薄々気が付いてはいたけど、親からの連絡なんて一切なかったから。



仲が悪いのかとか、蜜がなにかやらかしてこっちに飛ばされたのかとか。



蜜が過去になにかやらかしたんだとしても、俺にはどうだっていいこと。



今現在、目の前にいる蜜が本物だから。



その蜜が急に実家に帰ると言い出して。



仕事が終わった俺にボソッとつぶやくように言ったからちょっと気になる。



「訳とか聞いた方がいいなら聞いてやるけど?」

「じゃあ…話すのめんどくさいからいいや」

「そ?」

「それより腹減った」



作り笑顔…。



頭わりぃのは知ってるけど、ここまで顔に出されたらさすがにどうにかしてやりたくなる。



「ムリすんなよ」

「なにが~?」

「遠慮しねぇで話したっていいって言ってんだよ」

「大丈夫だから昼メシ~!!」



大丈夫な顔に見えねぇのは俺だけなんスかね?