honey blood

昔のヴァンパイアは陽に弱かった。



その体質は現代に適応するように発達し、日光なんかぜんぜん平気。



だけど俺はこれまた異色な体質で、夏の暑すぎる日なんかは動くのも億劫になったりする。



だけど昨日も蜜の血をもらったわけで、これ以上血を減らして倒れられたら困る。



そのための薬は一応持ち歩いてはいるけど、飲むのが怖くて飲んでない。



楽しそうに前を歩く人間ふたりと、その後ろを歩くヴァンパイアふたり…。



「この前のこと、北斗に聞いたよ」

「そうか」

「死にかけたんだってね~」

「苦しかった」

「僕がもし紫のそばにいてもなにもできなかったね」



なにが言いたい?



珍しくまじめな顔しやがって…。



「僕は紫を失うのなんてイヤだ」

「それは俺だって…」

「紫、僕を強くしてよ」

「それは出来ねぇ相談だ」

「紫は昔からそうだよね。僕のことは助けるくせに、僕には助けさせてくれない。本気で言ってるんだよ」



雪丸のバカヤロー。