次々と飛び立つ術者を見送り俺達は結界の警備へと回る。またいつ魑魅魍魎が結界を破るか分からないからだ。

「泰葉達は南口を」

 扉一つ一つの警備に何人もの守護者が護りに着く。何班かに分かれそれぞれ警備に当たるよう言い付けを受けると、俺達術者もその辺りを動き回る。
 南口は比較的安全だと言われ、術者になったばかりの俺を気遣っているのだと感謝した。
 泰葉自身は不満そうだが、俺が上手く風を使えないことから仕方がないと諦めた様子だった。

「鳴海家の人間を南口に着かすとは、全く舐められたものだな」
「仕方ないだろう。俺がまだ……」

 話しながらふと辺りを見渡せば、南口を守る術者はみんな若者であることに気付いく。
 術者になり日が浅いのか、それとも経験不足な者が多いのか分からないが、若者の姿が目立っている。

「群真さんは何処にいるんだろう」

 篝がいない群真さんが式神だけで大丈夫なのだろうか? 経験を積んでいるとは言え、篝がいるのといないのでは違いがあるだろう。

「群真なら大丈夫だ」
「なんでそう思う?」
「篝の式神がついている」
「ああ……」

 泰葉がいつか式神を飛ばしたように、篝も群真さんに式神を飛ばして行ったと言うわけか。
 なら、俺達が心配することもないだろう。篝はああ見えて優秀な方だと泰葉が言っていた。
 優秀だからこそ、己の力を過信して暴走してしまうとも、泰葉が話していたのを思い出した。