何人かの式神を飛ばし、俺達は会場で啓太の次の動きを考えていた。
 爺さんから聞いた話しでは、啓太は関西にある水神様を奉った神社の息子だったらしいが、親子喧嘩をして勘当されたらしい。

 親子喧嘩の理由も兄弟がいれば良くある話しらしく、勘当されたのも啓太さんがやり過ぎたせいらしい。
 水神様を守護者にしている啓太さんがしたこと、それは同じ術者である次男の守護者である天狗様に罠を仕掛けた。

 それが原因で勘当されたと言うことらしい。

「でも、長男が水神様を守護者にするのが普通じゃないのか?」

 きっと篝が龍神に支える天狗のように、水神に支える天狗が啓太さんの弟さんの守護者と言うことになるんだろう?
 立場的には、啓太さんの方が弟さんより上の筈なのに、何が嫌でそんな行動に出たのだろうか?

「多分、啓太は天狗に守護されたかったんだ」
「だが、長男である為水神を継承しなければ為らなかった。運命や掟には逆らえないからな」
「じゃあ、啓太さんは掟を破ろうとしたから勘当されたってことですか?」

 群真さんと冬真さんが話す横で俺も話しを聞いていた。二人が言うことを合わせて聞けば、掟破りをしたから啓太さんは勘当されたと分かる。

 話す俺に二人は小さく頷くと、啓太さんのような術者は稀に話しに聞くと教えてくれた。
 龍神の守護者を持つから龍神の術者になっただけで、決して望んで術者になった者は少ないと。

 分かっていることは、啓太さんが望んで水神の術者になったわけではないと言うこと。
 本当は、俺や群真さんみたく天狗の術者になりたがっていたと言うことだけだ。