あれから泰葉と風雅を交え、俺は風をある程度扱えるように修業を積んだ。今では風の剣を創れるようになり、剣道の経験も活かせる技を思案出来るようになった。

 泰葉に言わせれば風雅の協力があるからこそ、そこまで成長出来たと言うことらしい。
 風雅と真弥とだけで修業をした時もあったが、この二人。意外とスパルタで何度も傷を負わされた。

「泰葉、これで良いのか?」
「うむ、似合っておるぞ悠斗」

 羽織り袴に身を包んだ俺を見て泰葉が微笑んだ。今日は一族術者を呼んでの俺の正式な継承式が執り行われる。
 親父も緊張しているのか、さっきから右往左往していて傍から見ていたら面白い。
 術者でなくなった親父の傍には、式神が着いていて親父の身を護るらしい。何時何があるか分からない為、母親には親父の式神と真弥を警備に当てている。

 会場には一族がぞろぞろと集まり、群真さんを見つけた。群真さんの傍らには相変わらず仲悪そうに、篝と流鬼が着いていて、空には流烏が羽ばたいていた。
 会場を見渡し凄い光景だと目を丸くした。見たこともない親族の傍らには守護者や式神が着いていて、今にも喧嘩をしそうな勢いの奴もいる。

 この中に今日から俺も正式に仲間入りすることになるのだと思うと、ちょっと肩の荷が重くなった。
 風雅が何処かの式神と喧嘩したらどうしようとか、泰葉が失礼なことをしたらどうしようとか、術者とは責任重大な役割なんだと肩を落とした。