「うーん、風雅に真弥だな」

 俺の式神に名前を付けないといけないらしい。一日中考え、俺は男に風雅(ふうが)と女に真弥(まや)と名付けた。
 俺は泰葉の提案で、この二人をお守りの中に住まわすことにした。風雅は携帯のストラップ代わりに、真弥はベルト通しに着けることにしたのだ。

 泰葉がいない時に呼び出せるように、普段持ち歩く物に着けることにした俺に、泰葉は肩を揺らし笑った。
 どうやら昔、親父が術者に成り立ての頃、俺と同じ行動を取ったらしい。泰葉に言わせると、俺達は似た者親子らしい。

「悠斗、少し風を起こしてみろ」

 泰葉に言われ、小さな風を呼び起こすと泰葉は手を叩き喜んだ。継承式には間に合わないと思っていたようで、継承式までに次の行程に進むことが出来ると俺に話した。
 次の行程が何なのか知らないが、とにかく風を起こすことと、式神を呼び出す訓練をして置くようにと、泰葉から指示された。

「風雅」

 それから俺はことある毎に風雅と真弥を呼び出した。二人共、俺が思い描いた通り素直な子達で、我が道を行く守護者とは違った。

「悠斗様」
「ご苦労様、風雅」

 道行く子供が風船が木に引っ掛かったと泣いていれば、風雅と真弥を呼び出し取ってあげるように命令する。
 そんな使い方じゃないと分かりつつも、今はこの二人がどんなことを得意とするのか、観察したかった。

 風雅は男である分、力が強い。真弥は女である分、優しい。それぞれの特徴を俺が知り、コントロールしていかないといけないと、泰葉に叩き込まれた。