風が止み一息つくと全身の力が抜けて行き、俺は泰葉の身体に倒れ込んだ。倒れ込む俺を泰葉が抱き上げると、優しく微笑んだ。

「やはり悠斗はわしが思った通りの術者じゃ。良く頑張った」

 微笑み言う泰葉に俺は嘘をつけと思うも、悪態をつく元気はなく。ゆっくり瞳を閉じると、そのまま朝まで深い眠りについた。

「英司と違い手が焼ける術者じゃ」





 朝目覚めると、見たこともない奴等が俺を覗き込んでいた。

「「おはようございます」」

 二人して挨拶すると、俺を笑顔で見る。俺は回らない頭で泰葉を叩き起こすと、眠たそうにその姿を現した。

「何じゃ一体」

 欠伸する泰葉に俺は二人を指差し、くせ者かも知れないと言えば、泰葉が腹を抱え笑い出した。

「アハハッ! 悠斗は頭がおかしいのか?」
「はあ!?」
「お主、昨夜のことを覚えておらんのか?」

 昨夜のことは覚えている。
 初めて風を自分の意思で起こし、泰葉から借りていた箱の蓋を開け―――

「あっ!」

 沸々と甦る記憶の中で、風を封印したであろう紙切れが頭の中を過ぎった。そう言えばあの紙切れはどうしたのかと。

「―…もしかして」
「うむ、悠斗の式神じゃ」

 この二人が俺の式神!?
 緑の髪で整った顔の男と、薄い茶髪の長い髪に、男と瓜二つの女が俺の創った式神らしい。確かに俺の思い描く風とは、春を呼び秋を呼び…そのイメージがこれ!?