「篝の居場所が分かるんですか?」

 不思議そうに聞いた俺に、群真さんは静かに頷くと、術者と守護者の関係について話してくれた。
 守護者が術者の行動を把握出来るように、力を付けて行けば術者も守護者の行動が分かるようになると。

「これが何か分かる?」

 群真さんが俺の目の前に人の形をした白い紙を見せた。映画やテレビドラマで目にしたことがある形で、俺は恐る恐る答えた。

「式神…ですか?」
「正解」
「…式神が使えるんですか?」

 式神なんて映画やテレビドラマの中だけかと思っていた。守護者以外にも、式神を使い熟せるなんて群真さんは、凄い強い術者なんだろう。

「君も風を操るようになれば、風の魂をこの紙に封印し、式神として操れるようになるよ」

 そう話す群真さんの肩に一羽の鳥が羽ばたいて止まった。見たこともない鳥で、尾には小さな火がゆらゆらと揺らめいている。

 鳥が鳴けば群真さんは頷き、ご苦労さんと言い鳥をまた飛ばした。火が揺らめくのを見た俺は、これが式神なのかと様子を眺めていた。

「篝達が起きたらしい。今連れて来るそうだよ」

 軽く微笑み言う群真さんに聞きたいことが沢山ある。式神のこともそうだし、術者としてのことも聞きたい。
 今日はもう大学を休んで、一日群真さんと過ごしてみようかと考える俺の耳に、階段を降りて来る足音が聞こえた。