朝目覚めれば、空になった一升瓶を抱えた篝と、胡座を掻いたまま眠る泰葉がいた。俺の部屋が少し酒臭くて、俺は朝からため息をついた。

 昨日寝付くまでコイツ等の話しを聞いていた。どうやら会うのは群真さんの継承式以来らしく、積もる話しが沢山あったのだろう。
 はっきりとは分からないが、俺の継承式のことも話していたようで、何れ俺も鳴海家の術者として挨拶をしなければならないようだ。

 継承式までに力を操れればと、泰葉が篝に話していたのをみると、継承式を終えた後何かあるように感じた。
 以前泰葉が言っていた、命を狙う者も継承式を終えた頃から増えて行くんじゃないかと。

「おはようございます」
「おはようございます! 群真さん」

 一階に降りると既に群真さんは起きていて朝食を摂っていた。篝がいないのに、群真さんは気にも留めていないようだ。
 そういえば、継承するまで気にしてなかったが、親父も泰葉を気にしている様子を一度も家族には見せたことがない。

 慣れもあるのだろうが、本人の中に守護者がいなくとも、みんな気にはしないのだろうか?

「篝がまた迷惑を掛けたみたいだね」

 不意に群真さんに言われ俺は首を横に振った。それと同時に、不思議に思った。篝が俺の部屋にいたことを話してもいないのに、群真さんはまるでお見透しのように話したのだ。
 何故分かったのだろう? 絆の違いなのか? 俺は泰葉がいるかいないかの気配しか分からないのに対し、群真さんは篝の居場所まで分かると言うのだろうか?