親父達も寝静まり、俺は客間で群真さんと話していた。
 俺の知らないことを群真さんは良く知っていて、聞けば聞くほど俺の容量の少ない頭はこんがらがるばかりだ。

 鳴海家の話しをしてくれたが、鳴海家には数々の分家があるらしく、どうやら天狗様だけを奉っているのは、我が家だけらしい。

 本家は何処なのかと聞けば、群真さんも知らないらしい。噂によれば、既に本家なる物は存在せず、分家ばかりが生き残っているとも。

 天狗を守護者に持つ分家も、意外と数は少ないらしい。天狗にも幾つかの種族があり、篝みたく龍神に支える種族、水神に支える種族とそれぞれだそうだ。
 本家ではない我が鳴海家が守護されるのが、何故鴉天狗なのかと言う理由も聞いた。
 ここまで来れば神話みたく感じるが、鴉天狗は天狗の中でもエリート扱いで、他の神様と同じ扱いを受けるのを拒んだ。
 要は、我が儘を言い暴れた。その暴れる鴉天狗様の気を鎮めたのが、我が鳴海家初代だったと言うことらしい。

 それ以来、何故か鴉天狗に我が家は気に入られていると、群真さんは親父さんから聞いたらしい。
 『鳴海』と言う名前は、天狗達の中では評判が良いとまで教えてくれた。それだけの名前だから、気を付けるようにとも。

 『鳴海』と言う名前の術者を守護したがる種族は意外と多いらしく、天狗以外にも俺達に憑きたいと言う神様までいるらしい。