家には妖怪が住んでいる。

 2500年、日本の歴史はがらりと変わった。温暖化の進行により、昔ながらの生活へと時代は変貌を遂げた。

 そんな木々が増え自然が増える中、架空だと思われていた者達が、姿を現す様になった。

 絶滅したと言われていた生物は次第に増えて行き、恐竜の生き残りだと言われていた生物も増え続けた。

 そんな中―――

 小さな街に密かに姿を現したのは『妖怪』と呼ばれる生物達。

 その街の外れにある森の中に、彼等は棲息し続け、何百年までの間ひっそりと暮らしていた。

 発達した歴史が終わると共に、密かに棲息していた彼等は動き始めた。悪さをし、人間を脅かす者もいれば、人間を尊重し仲良くする者もいる。

 その妖怪の全てを牛耳る長とも言える妖怪。

 『天狗族』

 我が家は代々、その天狗様を奉る神社の家系であった。

 そして二十歳になると共に、眠り続けていた己の力が発動する―――