「ああ大変だ!
 トナカイたち、大急ぎでサンタの国に帰っておくれ」


落ちこぼれサンタはトナカイとは仲がよかったので

トナカイは大急ぎでサンタの国に帰りました。

サンタの国に着いたのは時間ギリギリ。

落ちこぼれサンタは


「もうサンタになれないかもしれない…」


そう言って悲しみました。

そのとき、一流のサンタが落ちこぼれサンタに話しかけてきました。


「お前はどうしてすぐに帰ってこなかったんだ?」

「私はまだまだ若いサンタ見習いです。
 ヒゲもはえていないから、子供たちの夢を壊してしまうのです。
 だから起きてしまった子供を放って帰ってくることができませんでした」


その話を聞いて一流のサンタは柔らかく笑いました。


「子供たちの夢を壊さないようにとは素晴らしい!
 これからもサンタとして頑張りなさい」


落ちこぼれサンタは目をぱちくりとしました。

てっきり一流のサンタにはなれないと思ったのです。

落ちこぼれサンタはにっこりと笑いました。