世界のどこかにある白の世界。

そこはある集落。

誰もが1度は夢を見るサンタの国。

雪が積もりトナカイの鳴き声が響く。

高らかな笑い声が空を貫いた。


「この落ちこぼれー、サンタなんてやめちまえ!」

「どうせ仕事なんてもらえねえよ!」

「うるさーい、あたしは絶対!
 一流のサンタになるんだから!」


泣き声混じりに辺りに響いた声。

情けない…でも負けない!

あたしは絶対に一流のサンタになるんだから!


――ルーシア・アミール

仲良い人はルーシーって呼んでる。

あたしのおじいちゃんは実はこの国ではすごく有名人。

一流サンタとして有名なんだ。

それに引き換えあたしは落ちこぼれとして有名。

……本当、情けない。


「あんたたち、ルーシーに構う暇があったら手紙の整理してきなさい!」

「げ、エルーだ逃げろ!」

「この成り上がりサンタがー!」

「黙れへっぽこサンタ!」


うーん、素晴らしい掛け合い。

さすがエルーだね!

鼻を寄せてきた相棒の頭を撫でる。


――エルー・アグネシア

あたしの幼なじみで親友。

同期だけどあたしとは違って優秀。