「ずいぶんとお早いお帰りですが、どうだったんですか?」

ハンドルを握る黒崎さんが、ミラーをチラチラ見ながら尋ねてきた。

「あ? ちょっとやり過ぎだった。やり方がまずかったと言うべきかな。親父さんにこっぴどく叱られたよ」

「でしょ? だから私は反対してたんですよ?」

「分からず屋のお袋を、ぎゃふんと言わせたかっただけなんだけどな…」

「それにしては、やり過ぎですね?」

「ああ、反省してる。小枝子、くだらない茶番に付き合わせちまって悪かったな?」

「………」

私は、返事をする気力もなかった。


「さてと、腹が減ったからどこかで飯でも食おうよ?」

「私は帰ります」