俺様男に心乱れて

しばらく走ると、車は立派な門をくぐり、まるで博物館かと思うほどに大きな洋館の前で止まった。

「黒崎さん、あまり長居せずに帰りますから」

「かしこまりました」

「さあ、行くか?」

「はい」

私は亮介さんの腕を取り、エスコートされて建物へ入って行った。

「大きなお屋敷ね?」

「無駄にデカくて悪趣味だろ?」

「亮介さんたら、口が悪いんだから…」


入口に執事さんみたいな初老の男性が立っていた。

「北島様、ようこそおいでくださいました」

「ああ、こんにちは。おじゃましますよ」

「あの…北島様」

私達が中へ行こうとしたら、その男性に呼び止められてしまった。

「何ですか?」

「そちらのご婦人は…?」