亮介さんは、一度も好きと言ってくれない。

私も、亮介さんに抱かれながら、好きと言わないようにいつも気をつけている。

つまり、琢磨の時と同じ。琢磨は子供で、亮介さんは大人。その違いこそあるものの、他は何一つ変わらない。

このままではいけないと思い、亮介さんに告白する決心をした夜があった。

その夜は、呼び出されてもいないのに私は亮介さんのマンションへ行った。

ところが、亮介さんはまだ帰ってなくて、ドアの前でしばらく待ち、体も冷え切ったし諦めて帰ろうと思ったら、ようやく帰って来た。

私は冷えた体を温めてほしくて、大胆にも亮介さんの胸に飛び込んだら、その瞬間に女性用の甘い香水の臭いがした。