俺様男に心乱れて

亮介さんのマンションにはあっという間に着いた。

こんなにご近所なんだから、料理のお裾分けをしても不自然じゃないよね?
私は誰にという事もなく、そんな言い訳をしながらマンションのブザーを押した。

亮介さん、いるかな。起きてるかな…

もう一度ブザーを押そうとしたところで、中からガチャと音がしてドアが開いた。

「よお、来たか。遅いから来ないのかと思ったよ」

亮介さんはTシャツ姿で首に青いタオルを掛けていた。髪はまだ濡れていて、どうやらお風呂上がりのようだった。

「こんばんは」

「お、おお」

「あの、コレ…」

「ん? まあ、とにかく入れよ」

「いえ、あのね、アップルパイを作ってみたんだけど…」

「いいから入れよ。寒いだろ?」

「きゃっ」

話の途中だったのに、亮介さんに腕を掴まれ、玄関に引っ張り込まれてしまった。